よ:「じゃ、抹茶くん。父ちゃんのお迎え行ってくるからね。待っててね。」
チラッ!
“え゙!?なんか目が怖いんですけど・・・”
いつもと違う抹茶の表情に、
少したじろいだのである。
ニャ王のお迎えには、対向車を交わしながらでないと通れない、
細い道路が、一番の近道なのである。
時間的に何の問題もなく、大きい道路に出られるはずだったのだが、
後ろから迫ってくる、青白い光。
よ:「もぅ・・・勘弁してよぉ。」
少し広くなった道まで来た時、
目前に異変を感じたのである。
よ:「車が立ち往生してる?!珍しい。」
対向車がゆっくり進み出し、
私の前を走っていた車も、ゆっくり走り出したのである。
よ:「あ゙!!!」
車内の三角マークを、
ポチッ!
カッチッ♪カッチッ♪カッチッ♪カッチッ♪
停車している私の車を、背後の車が追い越して行く。
よ:「だめーーー!!!!」
車から降り、周りを見たのである。
歩道には、心配そうに佇む母猫。
歩道の隅には、横断しようと頑張っていた、
子猫の無事な姿があったのである。
よ:「良かった〜♪危ないよ〜。車多いからね〜。」
私の声に反応し、見つめている母猫の側には、
渡りきって見守っていた兄弟猫と、
頑張って渡った子猫の、じゃれる姿があったのである。
よ:「大丈夫かな?下におらんよね〜?動きますよ〜。」
車を一回りし、
よ:「せやった!迎えに行かなやった!!」
車に戻った私は短時間の間に、ヤブ蚊に大量に刺されていたのだが、
よ:「猫ちゃん達・・・」
行き掛けの出来事をニャ王に話し、同じ道を帰ったのだが、
そこに家族の姿は、無かったのである。
ニャ王がその場に居たら、間違いなく連れ帰っていたであろう。
暗闇の中、ゆっくりゆっくり、恐る恐る、
車の前を渡って行く子猫の姿を思い出す。
何も出来なかった自分に、少し落ち込む出来事なのである。