何時ものように、『猫ちゃん集会所』を通り、ニャ王を迎えに行く時のことである。
よ:「あっ!黒ちゃん!お〜♪お尻突き出してのび〜♪やる気だな〜。」
猫ちゃんに会えるか会えないかは、その日のタイミングである。
ニャ王を迎えに行き、珍しく、『コマモ』(こじんまりとしたショッピングモール)に立ち寄った。
DVDを借り、マーカー(蛍光ペン)を購入。
ちょっと贅沢に、本場のカレーを食し、
『小さな幸せ』の数を数えたのである。
帰り道、
よ:「迎えに行くとき、黒ちゃん伸びしてたよ♪」
ニ:「あ・・・・」
よ:「ん??」
ニ:「猫ちゃん・・・・」
『猫ちゃん集会所』に差しかかる前の言葉に、
私はニャ王が何を言っているのか、理解が出来なかったのである。
よ:「ありゃ〜♪今日はみんな集まってるね〜♪」
暗闇の中、猫ちゃんの目が光っている事だけはわかったのである。
ニ:「よめちゃん・・・・黒ちゃん・・・・」
それでも私は、何を言っているのかわからなかったのである。
ニ:「車、停めるよ・・・」
ようやく、何が起こっていたのか、把握が出来たのである。
何か、物を避けるかのように、走って行く車。
「邪魔だ!」と停めた車に、苛立つ人。
「市が片付けますよ。」と少し違う優しさを見せるサラリーマン。
「餌付けされて困る。餌の所に置いとけば、毎日来る人が、どうにかする。」と、犬の散歩中の老夫婦。
それぞれ『人』の言い分である。
ニャ王はそれでもその場に放置する事が出来ず、
声を掛けてくださった方々には、お礼を言ったのである。
黒ちゃんを車に乗せる様子を、その場にいた猫ちゃん達が、鳴いて後追いするのである。
ニ:「ごめんね。連れて行くね。」
よ:「危ないよー。車来るから、出てきちゃダメよー。」
車が動き出しても、その場を離れようとしない猫ちゃん達の姿。
どれくらい走ったであろうか。
ニ:「そろそろかな。」
途中、何度か車を停めたが、ニャ王は走り続けていたのである。
ニ:「みんなから遠くなってごめんな・・・」
街の光が遠くに見渡せる場所に、黒ちゃんを埋葬したのである。
ニ:「良いか悪いかって言うたら、俺のした事は、他人の土地に勝手にやから、悪い事やと思う。でも、人がした事は人の手で責任とらなあかん。それやったら、誰かに任せるより自分でしたかった。ごめんな。」
ニャ王が言ったのである。
よ:「相手が人やったら停まったり、車から降りるよね。」
ニ:「いや。そんな奴等は、人だと思いませんでした。って、既に弁護士に相談してから出てくる奴さ。そんな奴等、何人も見てきたよ。」
『人』だから、『猫』だから、
必死に生きる『命』に、違いはないと思うのである。
『一匹の黒猫』に、考えさせてもらった出来事なのである。